映画感想:ミッション:インポッシブル/ファイナルレコニング

犬ぞり使わせてくれたおばちゃん大好き。あれもアナログの力の象徴だね。これはイメージ画像。

概要:

ミッション・インポッシブルシリーズの最新作で、前作「デッドレコニング」の続編である。もう終わるのかと思っていたが、どうも最後の作品ではないらしい…トム・クルーズはまだ働くつもり満々である。

あらすじ(非常に難しい話のため):

世界中にAI「エンティティ」が蔓延り、これを止められるのは沈んだ「セヴァストポリ」という潜水艦の中にあるオリジナルのA Iソースコード「ポトコヴァ」のみ、と言われている。

そのオリジナルソースコードが入っているハードディスクは深度190mの極寒の海に沈んだまま。取り戻すには十字架のキーが必要で、人間の手でなければ開くことはまず難しい。また、その潜水艦の位置を知っている人間はごくわずかで、1で一人殺されている。

エンティティの狙いは世界征服。理由は不明だが、「人類により良い未来を提供する」としている。これを映画内では「ノアの洪水」に例えている。そのために、エンティティを南アフリカにあるサーバールーム「終末の保管庫」に入れろという。エンティティは安全な場所から核発射を実行するつもりなのだ。

エンティティは次々と核発射装置に侵入していく。

イーサンは大統領に直接呼び出され、「72時間以内にエンティティを止めろ」と命令される。その代わり、イーサンにはジョージH.W.ブッシュ空母や海軍の協力が与えられる。

この辺はトム・クルーズのトップガンオマージュのようなシーンもある。

かたや、ガブリエルはいまだに自分がエンティティを支配し、すなわち世界を支配できると思っていた……

イーサンの仲間ルーサーはエンティティを誘き出して別の五次元ストレージに追い出す「毒薬」を開発し、オリジナルソースコードに組み合わせるガジェットを開発。この3つのアイテム、五次元ストレージと毒薬と、オリジナルソースコードのハードディスクを巡って、激しい戦いが繰り広げられる。

悪かったと思う点:

ストーリーがかなり荒唐無稽。このシリーズだから仕方ないかもしれないが。

AIの動機が意味不明

AIが突然自我を持って人間に歯向かうのはよくある筋書きだが、AI側の意思は未だ不明のまま。そもそも誰が何のためにこんなの仕込んだのか、その辺深みが欲しかった。

減圧症を舐めすぎ

私は過去に減圧チャンバーに3回入ることになり、ついにダイビングを諦めた。耳抜きも下手で、多分鼓膜に穴が開いていると思う。

減圧症の記録はとってあるが、減圧しても全回復はしない。手先足先がチリチリと痛み、日が経つにつれ、ズキズキとした痛みに変わっていった。小指の感覚がなかったりした。完治には一ヶ月くらいかかり、その後も飛行機に乗ると少し気分が悪くなる時もある。

イーサンは急性の減圧症にかかったはずだ。深度190mと聞いている。浮上速度が「なるべくはやく」だったし、呼吸器も最後は外れていた。普通は間違いなく死ぬ。私が35m潜った時、浮上には10分くらいかけた。その間、肺で空気交換をたくさんして、窒素を追い出すのである。

そんな状態のはずを色々省略して、目が覚めたら美女が隣に寝てくれているとか、ちょっと馬鹿馬鹿しくてここだけは笑いも怒りもできなかった。ご都合主義にも程がある。

良かった点:

トム・クルーズの映画に対する並々ならぬ愛を感じるところである。飛行機のスタントは彼自身だ。もはやここのシーンはドリフのようであり、ここは素直に笑った。

また、冒頭でトムからのメッセージがあり、「この映画は君のために創ったんだ」は、泣けた。これだけで半分感動をもらったようなものだ。

脇キャラが輝いていたのも良かった。トムが自己中心的な考え方をせず、チームに見せ場を作ったおかげだと思う。

AIに対抗できるのが、人の「記憶」伝える「良心」というのも良かった。敵だったパリス、泥棒だったグレースがイーサン側についたのも、「良心を持つ」ことを学んだからではないだろうか。

特に座標の伝え方がモールス信号や紙だったり、座標の割り出しツールがアナログなところもとても良かった。爆弾の解体は常に手作業だし。

また、アメリカの取るべき理想の姿をきちんと示したのも良かった。アメリカは正義を行わなければならないと、大統領が決断を下すシーンも素晴らしかった。

アメリカがモラルを失ったら世界は崩壊へ向かうだろう。

もしエンティティに動機があるとすれば、アメリカを滅ぼしたい誰かが仕込んだ恨み、なのかもしれない。

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